「お風呂場のロール網戸が破れてしまった…」
「ホームセンターで網を買ってきて、自分で張り替えられるかな?」
夏前になると、こうした相談が急増します。
一般的な「パネル網戸(四角い枠の網戸)」なら、ゴムを押さえるだけなのでDIYでも簡単に張り替えができます。
しかし、サッシ屋のプロとして、これだけは断言させてください。
「ロール網戸の『網だけ』張り替えは、絶対にやめておいた方がいいです」
安易に手を出して分解すると、中のバネが弾け飛び、元に戻せなく事態となるかもしれません。
この記事では、なぜロール網戸の張り替えが難しいのか、そして自分で直す場合の「正解」本体交換について、その手順とメリットについて解説します。
結論:ロール網戸の「網だけ張り替え」は超高難易度

まず、多くの人が誤解している構造の違いについて説明します。
普通の網戸とは「中身」が別物です
ホームセンターで売っている「張り替え用ネット」は、あくまで引き違い窓などに使うパネル網戸用です。
一方、ロール網戸(横引きロール網戸など)は、その名の通り網を巻き取るための*強力なスプリング(バネ)が本体内部に組み込まれています。
網だけを交換しようとしてビスを外して分解すると、このスプリングのテンション(巻き取る力)が一気に開放され、「バチン!」と部品がバラバラになることがあります。
一度開放されたスプリングを、適切な強さに巻き直して組み戻す作業は、私たちプロでも嫌がるほどの手間と技術が必要です。
一般の方がDIYで挑むと、90%以上の確率で「破壊」して終わります。
10年以上前の製品は「部品」がない?
「でも、メーカーから交換用の網を取り寄せればいいのでは?」と思うかもしれません。
確かに、YKK APやLIXILなどの大手メーカーは交換部品を用意している場合があります。
しかし、網戸の寿命である10年〜15年が経過している場合、すでにそのモデルは廃盤になっていることが大半です。
部品供給が終わっていれば、当然修理は不可能です。
つまり、多くのケースにおいて「修理」という選択肢自体が最初から消えているのが現実なのです。
自分でやるなら「本体丸ごと交換」が一番安くて簡単

では、破れたロール網戸はどうすればいいのでしょうか?
答えはシンプルです。新品への買い替え(本体交換)です。
「えっ、丸ごと買うと高いんじゃないの?」
そう思われるかもしれませんが、実はこれが最もコスパの良い方法です。
1.5万円で新品が買える
プロに修理を依頼すると、出張費+技術料+部品代で、軽く2万円〜3万円はかかります。
一方、ネット通販などで「オーダーサイズのロール網戸(セイキ販売など)」を購入すれば、サイズによりますが1万円〜1.5万円程度で手に入ります。
修理にお金をかけるよりも、新品を買ったほうが安いのです。
しかも、新品なら網だけでなく、動きが悪くなっていたレールやスプリングも全て新品になるため、その後10年は快適に使えます。
例外:LIXIL「しまえるんですα」ならカートリッジ交換もアリ
ただし、例外的に簡単に直せる製品もあります。
LIXILの玄関・勝手口用網戸「しまえるんですα」などの一部製品です。
これらは、網が巻かれている部分が「カートリッジ」としてユニット化されており、カセットテープのように「ガチャッ」と交換できる設計になっています。
ご自宅の網戸がこのタイプであれば、メーカー公式ショップで交換用カートリッジを購入し、自分で簡単に交換可能です。
まずは網戸のメーカーラベルを確認してみてください。
【費用と手間の比較表】修理 vs 本体交換
「修理(網交換)」と「本体交換」の違いを一目で分かるように比較しました。
これを見れば、なぜ私が本体交換を勧めるのか納得いただけるはずです。
| 方法 | 費用目安 | 難易度・リスク | おすすめ度 |
| ① DIYで「網だけ」張り替え | 数千円(網代) | 激高(分解時に破損リスク大) | ×(やめとけ) |
| ② メーカー修理依頼 | 2.5万円〜 | なし(プロにお任せ) | △(費用が高い) |
| ③ DIYで「カートリッジ」交換 | 1.5万円〜 | 低(対応機種のみ可) | ◎(LIXIL等の一部製品のみ) |
| ④ DIYで「本体丸ごと」交換 | 1.2万円〜 | 中(採寸とビス止めのみ) | ◎(最も現実的でコスパ良し) |
結論として、カートリッジ式でない限り、サイズを測って、新しいロール網戸をネットで注文し、枠ごと付け替えるのが、最も安く、かつ確実に直る方法です。
実践!ロール網戸(本体)を自分で交換する3ステップ

「本体ごとの交換なんて、大掛かりな工事が必要なのでは?」 そう身構える必要はありません。 今のロール網戸がネジ(ビス)で止まっているタイプなら、プラスドライバー1本あれば、交換作業自体は30分〜1時間程度で完了します。
失敗しないための手順を3つのステップで解説します。
STEP 1:採寸(これが命です)
ネット通販でオーダーする際、サイズを1ミリでも間違えると取り付けられません。ここが最大の山場です。 以下のポイントを押さえて、慎重に測ってください。
- 窓枠の内側(うちのり)寸法を測る 今ついている網戸のサイズではなく、網戸を取り付ける「窓枠(木枠やアルミ枠)の内側の寸法」を測ります。
- 3箇所測って「最小値」を取る 窓枠は、経年劣化で歪んでいることがあります。 幅(W)も高さ(H)も、「上・中・下」「左・中・右」と3箇所ずつ測ってください。 そして、その中の「一番小さい数値」を基準にします。(大きい数値に合わせて注文すると、狭い部分でつかえて入りません)
- 「ロール網戸 オーダー」で検索 寸法が分かったら、楽天市場やAmazon、モノタロウなどで「ロール網戸 オーダー」と検索します。セイキ販売などの汎用性の高いメーカー製品がヒットしますので、測ったサイズを入力して注文します。
STEP 2:古い網戸を撤去する
新しい網戸が届いたら、いよいよ交換です。まずは古いものを外しましょう。
- ビス(ネジ)を外す 本体ボックスと、上下(または左右)のレールを固定しているビスをドライバーで全て外します。
- コーキングに注意(お風呂場の場合) 浴室の窓の場合、ビスだけでなく「コーキング(シリコンのゴム状の接着剤)」で隙間が埋められていることがあります。 この場合は、カッターナイフを使って、壁と網戸枠の間のコーキングに切り込みを入れて剥がしてください。無理に引っ張ると壁紙やタイルを傷めるので注意です。
STEP 3:新しい網戸を取り付ける
古い網戸が外れて、窓枠をきれいに掃除したら、新しい網戸を取り付けます。 ※ここでは一般的な「横引きロール網戸(オーダー品)」の手順を解説します。
- まずは「枠」を組み立てる いきなり窓に取り付けるのではなく、広い床の上で「本体ボックス」と「上下のレール」「戸当たり枠」を合体させ、四角いフレーム状に組み立てます。
- 窓枠にはめ込み、ビス止めする 組み立てた網戸セットを、窓枠(木枠)にはめ込みます。 位置が決まったら、インパクトドライバーや手回しドライバーで、ビス(ネジ)を打って固定します。 (※製品によっては「両面テープ」で仮止めしてからビスを打つタイプもあります)
- 動作確認 しっかり固定されたら、網を出し入れしてスムーズに動くか確認して完了です。
まとめ:悪いことは言わない、新品を買いなさい
今回はロール網戸の交換について解説しました。 最後に、サッシ屋からの本音のアドバイスをもう一度繰り返します。
「ロール網戸の網だけ張り替えようとして、泥沼にハマるのはやめましょう」
何時間もかけて分解し、油まみれのスプリングと格闘した挙句、元に戻せずに壊してしまう…。 そんな悲しい結末になるくらいなら、1万数千円で新品をオーダーして、パパっと付け替える方が、時間的にも精神的にも、そして結果的な仕上がりも間違いなく「お得」です。
DIYでやるなら「本体交換」。 これが、プロが教える最も賢いロール網戸の直し方です。 ぜひ、今週末にメジャーを持って、窓枠のサイズを測ることから始めてみてください。










