単板ガラスから複層ガラス(ペアガラス)にガラスの交換をされたい方に向けた記事になります。
以上の様な疑問が解決できます。
ここ数年は断熱や遮音性の高い複層ガラスが主流ですが、築18年の私の自宅は単板ガラスですし、当時の住宅の窓は殆どが単板ガラスでした。
単板ガラスは寒く、遮音性も低いため単板ガラスから複層ガラスへの取替えを希望されるお客様は毎年一定数いらっしゃいます。
そこで今回は、単板ガラスから複層ガラスへ交換する際の疑問についてお伝えしたいと思います。
よろしいでしょうか?
それでは本文スタートです。
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単板ガラスは複層ガラスに交換する条件
単板ガラスを複層ガラスに交換できるのか?
答え:できます。
ただし、通常のペアガラスは取付する事が困難で、該当する商品は、アタッチメント付き複層ガラスと、真空ガラススペーシアの2つです。
なぜ、この2商品だけなのか?も含めて詳しく説明いたしますね。
アタッチメント付き複層ガラスで交換できる
単板ガラスを複層ガラスに交換するには、まずアタッチメント付きの複層ガラスが有力な候補です。繰り返しになりますが、通常のペアガラスでは交換することができません。その理由はガラスの厚みで、一般的な単板ガラスのサッシ溝幅にペアガラスの厚みでは入れる事ができません。単板ガラスが設置されている標準的なサッシの溝幅をご確認下さい。
標準的なサッシの溝幅
一般住宅のサッシ溝幅=9mm開口
マンションサッシ溝幅=11mm開口
一方、ペアガラスの厚みはガラスの構成によって決まります。ガラスの構成とは以下の様な記号です。
- FL3+A6+FL3
- FL3+A12+F4K
- FL5+A6+FL5
FL3とは厚さ3ミリの透明ガラスの事です。A6やA12は中空層の厚さです。F4Kは4ミリの型板ガラスで、FL5は5ミリの透明ガラスという意味です。
つまり、このガラスの構成を見れば複層ガラスの厚みがわかります。上記の厚みは以下の様になります。
- 3+6+3=12mm
- 3+12+4=19mm
- 5+6+5=16mm
複層ガラスをサッシに取付けるには最低でも12ミリのサッシ溝幅がなければ、そもそもサッシにガラスがハマらないのです。先に説明しましたが、サッシの溝幅は一般住宅で9mm、マンションで11mmが標準となっており原則取付不可となります。
※注意:製作可能なガラス構成がありますのでここで紹介した構成が製作できる訳ではありません。
そこで登場するのが「アタッチメント付きペアガラス」という商品です。
出典:AGC(ペアプラス)
ガラスメーカー国内最大手のAGCでは「ペアプラス」の商品名で販売されています。また、サッシメーカーのYkkapではアタッチメント付複層ガラスが該当します。
取付イメージはAGCさんから画像を引用させていただきます。
出典:AGC(ペアプラス 施工性/納まり)
複層ガラスのアタッチメントでサイズダウンしてサッシの溝に嵌め込める仕組みとなります。
日本板硝子の真空ガラススペーシアだと問題なく交換可能
アタッチメント付き複層ガラス以外では、日本板硝子の真空ガラススペーシアだと、ガラスの厚みが薄くサッシ溝幅へそのまま取替可能です。
出典:日本板硝子株式会社(スペーシア)
通常複層ガラスの中空層といわれる空気層は、標準で6mmや12mmが一般的ですが、真空ガラスは、この中空層にあたる部分が「真空」なので極薄の0.2mmです。上記の公式サイトから詳しく確認できますが、「透明3mm+真空0.2mm+透明3mm=6.2mm」となり一般住宅のサッシ溝幅9mmにも楽々入ります。
もちろん、断熱性能を高めたいなど特別な理由によりガラスの構成を変えるとサッシ溝幅に入らなくなる事もあります。
この点を注意すれば単板ガラスから取替えは可能です。
単板ガラスから複層ガラスに交換する費用
さて、単板ガラスから複層ガラスに交換ができる事はご理解頂けたと思います。次に気になるのは費用ではないでしょうか?
アタッチメント付き複層ガラスと真空ガラススペーシアの費用について概算となる金額をお伝えしたいと思います。
アタッチメント付き複層ガラスへの交換費用
ますは、メーカーが公開している「ペアプラスの価格」をご確認下さい。例えば一般的に使用される「透明3mm+中空層+透明3mm=39,900円(㎡・税抜・参考設計価格)となっています。仮に、横幅900×高さ1800のテラス窓1枚を交換しようとすると、1.62㎡になりますので、「39,900×1.62=64,638円」が参考設計価格になります。
※参考設計価格とは、住宅材料メーカーの希望小売価格を意味しています。住宅業界ではこの価格を「上代価格」とも呼ぶことがあります。住宅材料メーカーが設計価格を設定する理由は、その販売先が設計事務所や工務店ではなく、住宅材料の卸売問屋であるためです
あくまでもメーカー希望価格なので、一般のお客様へは少し安く販売される事が大半です。これは個別の事情により異なりますが、仮に約3割程度安く販売されたとしましょう。そこに工賃がかかりますので、アタッチメント付き複層ガラスへの交換費用は次のイメージです。
- 商品代金=45,000円
- 工事費=18,000円
- 諸経費=3,000円
- 消費税=6,600円
- 合計=72,600円
※工事業者により価格は変動します。
真空ガラススペーシアへの交換費用
真空ガラススペーシアでも参考設計価格は決まっています。2023年のスペーシアのデータに基づきますが「Low-e3mm+真空層0.2mm+透明3mm」の横幅900×高さ1800の参考設計価格は72,900円です。
同じく約3割程度安く提供できた場合で概算の交換費用を算出してみましょう。
- 商品代金=51,000円
- 工事費=18,000
- 諸経費=12,000円
- 消費税=8,100円
- 合計=89,100円
商品代金はアタッチメント付き複層ガラスよりも高くなる可能性が高いです。さらに諸経費も高くなると思います。理由ですが、アタッチメント付き複層ガラスだとアタッチメント部分が気密ゴムの働きがある為、別途、サッシとガラスの固定を行う必要がありません。施工した事がありますが、かなりガチガチに噛んでいる感じで取付も意外と大変です。
一方、真空ガラススペーシアは、グレチャンを新たに巻く必要があります。グレチャンとは、ガラスとサッシの際にあるゴムの事です。このゴムも部材費がかかりますので諸経費を高めに設定しています。
単板ガラスを複層ガラスにする効果
単板ガラスを複層ガラスにする効果には次の7つのメリットが考えられます。
1.断熱性能の向上
複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気層を挟むことで、熱を伝えにくくします。そのため、単板ガラスと比べて断熱性能が向上し、暖房や冷房の効率を高めることができます。
2.結露の防止
窓ガラスの表面に結露が発生するのは、室内外の温度差が大きいことが原因です。複層ガラスは、空気層が室内外の温度差を緩和するため、結露の発生を抑制することができます。
3.防音性能の向上
複層ガラスは、中空層が音波の伝わりを遮断するため、一定の周波数に高い防音性能を発揮します。
4.遮熱性能の向上
複層ガラスの、中空層はアルゴンガスが真空状態になっており、遮熱性能を高めます。
5.紫外線カット
複層ガラスは、UVカット加工を施すことで、紫外線をカットすることができます。
6.省エネ効果
複層ガラスにすることで、暖房や冷房の使用量を削減し、光熱費を節約することができます。
7.快適性向上効果
結露の発生を抑制することで、窓周りにカビやダニが発生しにくくなり、室内の空気環境を改善することができます。また、防音性能の向上により、騒音から解放され、より快適に過ごすことができます。
まとめ
単板ガラスから複層ガラスに交換は可能なのか?このテーマに関してお伝えしました。結論は可能だが、一般の複層ガラスではサイズの問題で難しい。対応できる複層ガラスは「アタッチメント付き複層ガラス」か「真空ガラススペーシア」の2つ。
さらには、交換する時にかかる費用や、複層ガラスに交換するメリットも説明しています。本記事を参考に、断熱性の高い複層ガラスを導入されてはいかがでしょうか。