「玄関ドアのリフォーム見積もりを見たら、30万円以上もして驚いた」 「有名メーカーじゃなくていいから、もっと安いメーカーはないの?」
玄関ドアの調子が悪くなり、交換を検討し始めたものの、費用の高さに頭を抱えている方は非常に多いです。 そこで「玄関ドア 安い メーカー」と検索すると、聞いたこともないメーカー名や、建具屋向けの木製ドアなどがヒットすることがありますが、プロから言わせれば、それらを選ぶのは非常に危険です。
サッシ屋として断言します。 リフォームにおいて、「無名の激安メーカー」を探すのは時間の無駄です。 逆に工事費が高くつくことさえあります。
一番安くリフォームする正解は、大手メーカー(LIXIL・YKK AP)の中で、極限までグレードを落とすこと」です。 この記事では、業界の事情を知り尽くした私が、チラシやカタログの「定価」に騙されず、最安値で玄関ドアを交換するための具体的な方法お伝えします。
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【結論】「無名の激安メーカー」は存在しない。3大メーカーが最強な理由

家電なら「ジェネリック家電」のような安い無名ブランドが存在しますが、玄関ドアのリフォーム市場において、それは当てはまりません。 なぜなら、玄関ドア交換は「モノを買う」だけでなく「工事」がセットだからです。
リフォームは「カバー工法」一択。対応できるのは大手のみ
現在、玄関ドアリフォームの9割以上は、カバー工法というやり方で行われます。 これは、今あるドアの枠を壊さずに、その上から新しい枠を被せる工法です。壁を壊さないため、たった1日で工事が終わり、費用も安く済みます。
実は、この「カバー工法用のドア」を全国規模で安定供給し、どんな現場のサイズにも合わせられる技術を持っているのは、事実上以下の3社しかありません。
LIXIL(リシェント) YKK AP(ドアリモ) 三協アルミ(ノバリス)
ネット記事でたまに見かける「シャッターメーカーのドア」や「木工所のドア」は、新築用や特殊な用途向けであることが多く、リフォームで使おうとすると「壁を壊す工事」が必要になり、大工工事や左官工事の費用(+20万円〜)が余計にかかってしまいます。 結局、「大手3社のカバー工法用ドア」を選ぶのが、トータルコストでは一番安いのです。
シェア争いをしているLIXILとYKK APが、実は一番値引き率が良い
「大手はブランド料が乗っているから高い」と思っていませんか? 玄関ドアに関しては逆です。
LIXILとYKK APは激しいシェア争いをしており、大量生産・大量流通しているため、サッシ屋への「卸値(仕入れ値)」の値引き率が非常に高いのです。 定価が30万円だとしても、実際の販売価格(掛け率)はもっと下がります。 逆に、流通量の少ないマイナーメーカーの製品は、定価は安く見えても値引きがほとんどなく、最終的な見積もり金額は高くなる傾向があります。
「安くしたいなら、一番売れているものを買う」。これが鉄則です。
メーカーではなく「グレード」で選べ!価格を下げる3つのポイント

では、LIXILやYKK APのカタログの中で、どうすれば「激安価格」を引き出せるのか。 答えは簡単です。快適さを捨てて、機能を削ぎ落とすことです。
見積もりを取る際、次の3つのポイントを指定するだけで、価格は劇的に下がります。
①断熱性能を捨てる(アルミ仕様 vs 断熱K4)
玄関ドアの価格を最も大きく左右するのは「断熱性能」です。 最近の主流は、ドアの内部に断熱材が充填された「断熱仕様(K4やD4など)」ですが、これをアルミ仕様(一般仕様)に変えるだけで、定価ベースで5万円〜10万円近く下がります。
アルミ仕様とは、要するに「昔ながらのアルミの扉」です。断熱材が入っていないため、冬場は外の寒さがダイレクトに伝わり、結露もしやすくなります。
しかし、 「住んでいる地域が温暖で、冬もそこまで寒くない」 「玄関はただの通り道だから、寒くても構わない」 「とにかく予算最優先!」
という方にとっては、「アルミ仕様」こそが最強のコストダウン策になります。 業者は良かれと思って断熱仕様を提案してきますが、「寒くてもいいので、アルミ仕様で見積もりを作ってください」と指定すれば、最安値の見積りとして期待に沿える内容に一歩近づきます。
②ガラスを捨てる(デザイン)
玄関ドアのデザインには、大きく分けて「採光窓(ガラス)あり」と「採光窓なし(パネルのみ)」があります。
玄関を明るくするためにガラス入りを選ぶ方が多いですが、ガラスは断熱材やアルミパネルよりも材料費が高いため、面積が広くなればなるほどドアの価格は上がります。
最安値を目指すなら、ガラスなしのフラットデザインを選んでください。
装飾のないシンプルな板状のデザインは、見た目は地味ですが、価格は最も安く設定されています。
「玄関が暗くなるのは嫌だ」という場合は、最小限のガラスが入ったデザインと比較して、許容できる価格差かどうかを確認しましょう。
③便利さを捨てる(手動キー)
最近のカタログやCMでは、ボタン一つで鍵が開く「タッチキー(電気錠)」や、顔認証システムが大きく宣伝されています。
確かに便利ですが、これらの電子キーシステムを追加すると、それだけで定価ベースで5万円〜10万円ほどアップします。
「カバンから鍵を探す手間」を我慢して、従来の手動キー(ギザギザの鍵やディンプルキーを挿して回すタイプ)にする。
これだけで、リフォーム総額をグッと抑えることができます。もちろん、防犯性能(ピッキング耐性など)は手動キーでも十分確保されていますので、安心してください。
【価格比較】LIXIL vs YKK AP 最安モデル対決

では、ここまで紹介した「アルミ仕様」「シンプルデザイン」「手動キー」の条件で選んだ場合、LIXILとYKK APでどちらが安いのでしょうか?
代表的なリフォーム用玄関ドアで比較してみました。
※価格は変動するため、あくまで目安としての比較です。
| 比較項目 | LIXIL「リシェント」 | YKK AP「ドアリモ」 |
| シリーズ名 | リシェント玄関ドア3 アルミ仕様 | ドアリモ 玄関ドア D30 アルミタイプ |
| 最安デザイン | C11N型 / C12N型 | S11 / S12 |
| 断熱性能 | なし(アルミ単板) | なし(アルミ単板) |
| 参考価格 | 約25万円〜 | 約25万円〜 |
| 値引き傾向 | 非常に高い | 非常に高い |
| 特徴 | クリエカラーなど木目調の再現度が高い | 施工性が良く、職人に好まれる |
結論:両社とも「ほぼ互角」です。
定価設定も近く、サッシ屋への卸値の掛け率も競合しているため、正直なところ「そのリフォーム店が、普段どちらのメーカーを多く扱っているか」で最安値が決まります。
「LIXILとYKK AP、アルミ仕様で安い方を入れたい」と相見積もりを取れば、間違いなく底値の見積もりが出てくるはずです。
絶対に手を出してはいけない「安物買い」のパターン
最後に、安くしたい一心でやってしまいがちな、**「絶対に後悔する失敗パターン」**を2つ警告しておきます。
これらは、結果的にお金をドブに捨てることになります。
ネット通販の「ドア本体のみ」購入
楽天市場やAmazonなどで「玄関ドア 本体」と検索すると、数万円でドアが売られていることがあります。
「これを買って、取り付けだけ職人に頼めば安上がりだ!」と考える方がいますが、これは大きな間違いです。
ほとんどのリフォーム店や工務店は、「施主支給(お客様が買った商品の取り付けのみ)」を嫌がります(または断ります)。
サイズ間違いの責任が取れないことや、配送トラブルのリスクがあるためです。
受けてくれたとしても、「割増の工事費」を請求されることが多く、結局トータルでは高くなるか、保証がつかない(雨漏りしても知らない)という最悪の条件になります。
塗装(リペイント)での誤魔化し
「交換が高いなら、ペンキを塗ってきれいにしよう」
塗装屋さんに頼めば、数万円〜10万円程度で見た目はきれいになります。
しかし、これはあくまで「お化粧」です。
玄関ドアの交換を検討するきっかけとなった「閉まりにくい」「隙間風が寒い」「鍵がかかりにくい」といった機能的な不具合は一切直りません。
数年後に塗装が剥げたり、ドアが完全に壊れて結局交換することになれば、塗装代は無駄金になります。
まとめ:安くしたいなら「LIXILのアルミ」を指名買いせよ
玄関ドアリフォームにおいて、魔法のような「無名の激安メーカー」は存在しません。
しかし、知識さえあれば、大手メーカーの製品を賢く安く手に入れることは可能です。
もし、あなたが「とにかく1円でも安く玄関ドアを新しくしたい」と願うなら、地元のサッシ屋やリフォーム店にこう伝えてください。
「LIXILのリシェントか、YKKのドアリモで、アルミ仕様、ランマなし、片開き、手動キーで見積もりをください」
これが、業界最安値を引き出すための指定方法です。もちろん、実際にはサッシ屋さんに現調に来てもらい取付状況の確認をしてもらう必要がありますが、この見積り内容は各社とも上記の仕様に合わせてもらいましょう。
断熱性や便利さは犠牲になりますが、雨風を防ぎ、スムーズに開閉し、防犯性も高い「新品の玄関ドア」が、最もリーズナブルに手に入ります。










