すりガラスについて、このような疑問はありませんか?
「すりガラスの歴史は?」
「すりガラスの製造方法は?」
「すりガラスのメリット・デメリットは?」
一般住宅でも当たり前のように使用されている「すりガラス」ですが、どのような歴史があって、どのように作られているのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
実は、一般的に使用されている透明なガラスよりも日本において長い歴史を持っているのがすりガラスなのです。
本記事では、すりガラスの歴史や製造方法、使用されている場所、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
<e-業者で見つかる!町田市の「ガラス屋(ガラス修理+交換)」業者さん>
すりガラスとは?
すりガラスは、透明な板ガラスを加工して表面に凹凸を付け、光を散乱させることで不透明にした板ガラスの総称です。
現代の日本においても和室・洋室問わずさまざまなタイプの住宅で使用されています。
すりガラスの歴史
すりガラスの歴史には諸説ありますが、日本古来から使用されていた障子の代用品として海外から輸入されたことが日本におけるすりガラスのはじまりと言われており、明治時代から使用されていたと考えられています。
日本における透明のガラスが一般的に使用されるようになったのは大正時代〜と言われているため、すりガラスは透明なガラスよりも前から使用されていたと考えられているのです。
また、すりガラスのデザイン性を高めた「結霜(けっそう)ガラス」は大正時代〜昭和時代に一般的なガラスとして使用されており、なかでも1950年代〜1970年代にかけては住宅でも使用される頻度が高かったです。
現代においてもすりガラスは一般住宅はもちろん、さまざまな場所に使用されていますが、大正時代〜昭和時代に一般的に使用されていた結霜ガラスのことを”昭和レトロガラス”として再び人気を集めているという側面もあります。
すりガラスの製造方法
すりガラスの製造方法には以下のような方法があります。
- サンドブラスト
- 酸エッチング
- レーザー加工
- 化学研磨
- サンドペーパー
それぞれの製造方法について、以下で詳しく解説します。
1.サンドブラスト
サンドブラストは、高圧でエメリーなどの研磨剤を吹き付け、ガラスの表面を削る方法です。
すりガラスの製造方法としてはもっとも一般的で、表面に細かい凹凸が均一に形成されて滑らかな仕上がりになるというメリットがあります。
メリット・デメリット
メリット
・表面に細かい凹凸が均一に形成されるだけでなく、粗さや模様を調整できる。
・比較的安価で加工できる。
デメリット
・加工に時間がかかる。
・粉塵が発生するため、作業環境に注意が必要。
2.酸エッチング
酸エッチングは、フッ酸などの酸性の溶液でガラスを溶かす方法です。
サンドブラストと同様に一般的な方法として知られており、独特な風合いが特徴的です。
また、酸エッチングで製造されたすりガラスのことを「エッチングガラス」と呼ぶこともあります。
メリット・デメリット
メリット
・サンドブラストよりも滑らかな仕上がりになる。
・細かい模様や文字入れにも対応できる。
デメリット
・フッ酸などの危険な薬品を使用するため、取り扱い注意が必要。
・サンドブラストよりも高価。
3.レーザー加工
レーザー加工は、レーザー光でガラスを直接加工する方法です。
サンドブラストや酸エッチングに比べて細かく複雑な模様や文字入れなどに対応していることからデザインの自由度が高く、製造時間も短いというメリットがあります。
メリット・デメリット
メリット
・非常に細かい模様や文字入れが可能。
・デザインの自由度が非常に高い。
・加工時間も比較的短い。
デメリット
・サンドブラストや酸エッチングよりも高価。
・加工できるガラスの種類や厚さに制限がある。
4.化学研磨
化学研磨は、ガラス表面に化学薬品を塗布して溶かすことですりガラスを作る方法です。
均一な仕上がりになることや複雑な形状をしたガラスでも加工できるというメリットがあります。
メリット・デメリット
メリット
・非常に均一な仕上がりになる。
・複雑な形状をしたガラスでも加工できる。
・環境負荷が少ない。
デメリット
・加工に時間がかかる。
・サンドブラストや酸エッチングよりも高価。
5.サンドペーパー
透明なガラスをサンドペーパーで磨くことですりガラスを作ることも可能です。
ただし、素人が行ってしまうと思ったような曇り具合が出なかったり、ムラができてしまいます。
補足
・手作業で加工するため、広い面積を加工するのは難しい。
・仕上がりが不均一になりやすい。
・力加減を間違えると、ガラスを傷つけてしまう可能性がある。
すりガラスが使用されている場所
すりガラスは以下のような場所で使用されています。
- プライバシーを守りたい場所
- 柔らかい雰囲気を演出したい場所
- デザイン性を高めたい場所
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
プライバシーを守りたい場所
すりガラスは透明性が低いガラスであるため、他の人から見られたくない、プライバシーを守りたいという場所に設置されることが多いです。
たとえば、浴室やトイレ、玄関ドアに使用されるなど、外からの視界を遮る必要のある場所に設置されることが多くなります。
柔らかい雰囲気を演出したい場所
すりガラスが光を取り込むときは柔らかい光になるため、おしゃれな空間にしたいときにも使用されます。
たとえば、和室の襖の代用として使用されたり、優しい光にするためにランプシェードに使用されることも多いです。
デザイン性を高めたい場所
すりガラスは透明なガラスとは異なる質感のある素材ですので、デザイン性を高めたい場所にも使用されることも多いです。
たとえば、テーブルや棚などの家具や、仕切りとして使用されることもあります。
すりガラスのメリット
すりガラスのメリットは以下の通りです。
- プライバシーを守ってくれる
- 光を和らげてくれる
- デザイン性が高い
それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。
プライバシーを守ってくれる
すりガラスは不透明な素材であるため、プライバシーを守ることに大きなメリットがあります。
光を和らげてくれる
すりガラスは光を遮断するのではなく和らげて取り入れてくれるため、明るすぎず暗すぎない優しい光を取り込むことができます。
デザイン性が高い
すりガラスはデザイン性が高く、模様が入っているものや文字が入っているものなど、さまざまなデザインから選ぶことができます。
すりガラスのデメリット
すりガラスのデメリットは以下の通りです。
- 強度が低い傾向にある
- 濡れると透明性が増す
- 汚れが溜まりやすい
それぞれのデメリットについて、以下で詳しく解説します。
強度が低い傾向にある
すりガラスは表面に凹凸をつけて製造されるため、一般的にガラスよりも強度が低い傾向にあります。
一般的に使用している分には問題ありませんが、強い衝撃が加わりそうな場所や防犯上危険な場所には使用しないことが無難です。
濡れると透明性が増す
不透明性が大きなメリットであるすりガラスですが、水に濡れると透明性が増すという特徴もあります。
そのため、水に濡れやすい浴室はもちろん、結露が発生しやすい場所や雨に濡れやすい場所に設置されているすりガラスには注意が必要です。
プライバシーの観点から透けて見えてはいけない場所にはカーテンなどを設置すると安心でしょう。
汚れが溜まりやすい
すりガラスは表面に凹凸があるため、一般的なガラスよりも汚れが溜まりやすいです。
また、ぞうきんなどで拭くだけでは凹凸に溜まった汚れが取り除けないこともあるため、お手入れにはブラシなど細かい部分の汚れを取り除けるアイテムを使う必要があります。
まとめ
本記事では、すりガラスの歴史や製造方法、使用されている場所、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。
”不透明なガラス”というイメージの強いすりガラスですが、実はいくつかの製造法があり、それぞれに違った特徴があります。
最近では昭和レトロガラスとしても人気を集めていますが、使い方次第では現代にマッチしたデザインで取り入れることもできるはずです。
ぜひ本記事を参考にして、すりガラスを選んでみてはいかがでしょうか。